場面緘黙の治し方〜周りの協力が得られず自力で克服する方法

場面緘黙の治し方〜周りの協力が得られず自力で克服する方法

場面緘黙の治し方〜周りの協力が得られず自力で克服する方法

場面緘黙症は治すのが難しいやっかいな病気です。

 

でも周りの人たちの協力があれば治すことは十分可能です。

 

 

 

しかしあまり知られてない病気なので、周りから理解されず、自力で治すしかない状況にいる人も非常に多いと思います。

 

私自身もそうでした。

 

 

 

というわけで今回は場面緘黙症を自力で治す方法を考察したいと思います。

 

ちなみにこの方法は場面緘黙という言葉を知ってる当事者で、小学校高学年以上の人を想定して書いてます。


周りの協力が得られない場合、今の学校で治すことは困難

最初に残念なことを言います。

 

周りの協力が得られない人が場面緘黙症を今の学校に在籍してる間に治すことは不可能に近いくらい難しいです。

 

 

またそもそも周りからの協力が得られるかどうかに限らず、

 

小学校中学年までの間にしゃべれるようにならなかった場面緘黙児は高校までしゃべれないままなことが多い

 

ということがアメリカの研究でわかってます。

 

 

これはなぜかというと、一度クラスでしゃべらない子として周りの子どもたちや先生に認識され、しゃべれないキャラが定着してしまうと、それを変えるのがものすごく難しいからです。

 

今までしゃべりたくてもしゃべり出せずにいた人ならその難しさはなんとなくわかってるはずです。

 

 

だからほとんどの人は、自分がしゃべらないことを知ってる人がいない学校に転校したり、進学したりするまでしゃべれないままになってしまうのです。

 

 

知り合いのいない遠くの大学に行くまで場面緘黙症が治らず、しゃべれなかった私もこのパターンでした。


 

 

で、おそらく今の学校にいる間に場面緘黙症を治したい人がほとんどだとは思いますが、今の学校でしゃべり始めることは諦めた方がいいかもしれません。

進学して場面緘黙が治ったとしても、進学先でうまくしゃべれない可能性も…。

さらに残念なお知らせを言います。

 

たとえ進学して場面緘黙症が治ったとしても、

 

進学先でうまくしゃべれない可能性

 

が結構あると思います。

 

 

今までしゃべらなかった人がいきなりしゃべり始めても、会話が上手くできず、人とのコミュニケーションに支障が出るのです。

 

 

家族とはしゃべれるんだから、普通にしゃべれるはずだと思ってても、場面緘黙症が治りたてのタイミングで普通にしゃべれるようになるとは限りません。

 

  • 声の出し方を忘れてて小さい声しか出なかったり、
  • 相槌が打てなかったり、
  • 挨拶できなかったり、
  • 自分から人に話しかけられなかったり、
  • 会話中なんて返せばいいかわからず固まってしまったり…。

 

 

また場面緘黙症を治すためには知り合いがいない、または少ない学校に行くべきなんですが、そういう学校に行っても友達ができない可能性もあります。

 

場面緘黙症になる人は人見知りも超激しい人が多いので。

 

 

場面緘黙で悩んでる時は治れば一気にしゃべれるようになるはず…と思いがちですが、実はそうでもないんです。

 

治った後も後遺症に苦しむ人は多いのです。

 

 

 

私も大学からしゃべり始めたんですが、大学ではまさ上記のような場面緘黙症の後遺症の症状が出て、コミュ障すぎてまったく人としゃべれなくて友達ができず、ぼっち生活を送ってました。

 

社会人になってからもコミュ障を引きずってだいぶ悩んでました…。


 

 

だから個人的に、今の学校でしゃべるかどうかより、進学したときに上手くしゃべれるようになることを目指す方がいいと思います。

 

ってことで進学したときに治ることを前提に場面緘黙症の治し方を紹介します。

場面緘黙はゴールから逆算して治す

場面緘黙の治し方のベストな方法はスモールステップです。

 

これは周りの協力が得られる・得られないに限らず同じです。

 

 

で、周りからの協力が得られない場合、ゴールから逆算して治します。

 

 

まず今の学校でしゃべり始めるのは難しいので諦めて、進学したときに治ってうまくしゃべれるようになることを目指します。

 

これがゴールです。

 

 

進学先はできるだけ知り合いのいない学校を選んでください。

 

自分がしゃべらないことを知ってる人が多ければ多いほど失敗しやすくなるのでできれば一人もいないくらいがベスト。

 

 

で、進学先を決めてそこでしゃべり始めると決めたらそれまでの間にできる限りスモールステップを踏んでしゃべることに慣れておくべきです。

 

 

 

そうでないと私みたいに大学デビューに失敗してぼっち生活を送ることになります。


スモールステップの具体的なアイディア

じゃあ具体的に何をすればいいのか。

 

周りの協力がなくてもできるいくつかのスモールステップのアイディアを紹介します。

 

 

1. しゃべる必要のあるお店に通う

まず、ちょっとだけしゃべる必要のあるお店に通うこと。

 

一応高学年の場面緘黙症なら知らない人とはしゃべれる人が多いと思うのでそういう人を想定して書いてます。

 

もし知らない人ともしゃべれない場合はコンビニやスーパーで「袋入りますか?」と聞かれたときにうなずきや首振りではなく「はい」「いいえ」と答えることから始めるといいです。

 

最初はなるべく「はい」「いいえ」だけで答えられるような質問をしてくるお店で肩慣らしし、慣れてきたらコンビニでコーヒーやおでんを注文するなど、少ししゃべることの多い店にも挑戦しましょう。

 

 

最終的には床屋や美容室でちゃんと注文できるようになればオッケーです。

 

 

しゃべる必要のあるお店の例

ハードル低め
  • コンビニで弁当やコーヒーを買う(「温めますか?」や、サイズを聞かれて答える)
  • コンビニやスーパーで飲み物を買う(「袋付けますか?」と聞かれて答える)
  • 本屋で本を買う(「カバー付けますか?」と聞かれて答える)
  • コンビニで中華まんやホットスナック、おでんを注文する
  • ファミレスやファースフード店、カフェで注文する
  • 食券制じゃないラーメン屋で注文する
  • タクシーに乗って行き先を告げる(一番近い距離で500円前後)

 

 

ハードル高め
  • 床屋や美容室
  • ネイルサロン
  • デパートのコスメカウンター
  • 占い

 

 

2. ヒトカラをする

次にヒトカラ。

 

ヒトカラはしたことがない人からしたら勇気がなくてできないって思うかもしれませんが、実はしてる人めっちゃいるので全然恥ずかしくないです。

 

私は時々ヒトカラしてますが、受付で見る限り団体客より一人客の方が圧倒的に多いです。(東京のカラオケ店の場合)

 

 

で、なぜヒトカラをすべきかというと大きな声を出すことに慣れるためです。

 

今まで場面緘黙症でずっとしゃべれずにいた人は声の出し方を体が忘れてたりするので、慣れる必要があります。(普段家族としゃべりまくってる人は別ですが)

 

 

ヒトカラでは口を大きく開けてお腹から声を出す練習をしましょう。

 

裏技として、仰向けに寝ながら声を出すとお腹から声が出やすいです。

 

1回寝ながら歌って感覚をつかんでから座った状態や立った状態で歌うとお腹から声を出す感覚をつかみやすいかもしれません。

 

 

DAMだとボイストレーニングもできます。

 

普段声を出すことに慣れてない人はロングトーン(一つの音を音程がぶれることなく安定して長く出すこと)が苦手なことが多いと思うので重点的に練習するといいです。

 

私も苦手でしたが、ボイトレを受けてお腹から声を出すコツを掴んだらだいぶマシになりました。

 

 

あとはカラオケ店の入店手順としては、初めての場合まず会員になる必要がある店が多いので最初に「初めてです」と言えば店員が手順を教えてくれるのでその手順にしたがって会員になります。

 

あとはDAMかJOYSOUNDが選べる店が多いので店員に「機種どうしますか?」と聞かれたら「DAMで」などと答えます。

 

あとはたいてい時間を聞かれるので「2時間で」「3時間で」などと答えます。

 

あとは1ドリンク制の店なら受付でドリンクを注文しておきます。

 

最後にタバコを吸うか聞かれるので答えると、部屋を案内されます。

 

 

 

1ドリンク制の店だと歌ってるところを店員に見られる可能性がありますが、それが嫌なら店員が来るまで歌わなければオッケーです。私も基本歌いません^^


 

 

3. ボイストレーニングを受ける

次にボイストレーニングを受けること。

 

これも特に普段家族ともあまりしゃべってなくて声を出すことに慣れてない人ならぜひやるべきですし、ある程度慣れてる人でも受けるメリットはあると思います。

 

 

声が小さくなっちゃう原因で一番大きいのは自信がないこと。

 

次にしゃべるとき緊張してること。

 

そして最後に声の出し方がわかってなかったり、声を出す筋肉が発達してないこと。

 

 

ボイトレでは最後の声の出し方を覚えらる&声を出す筋肉を鍛えられます。

 

自信や緊張は慣れの問題で解決しますが、声の出し方や筋肉は練習しないと解決しません。

 

 

私は場面緘黙症が治ったあと、それなりに自分に自信はあってある程度しゃべることに慣れてきてからでさえ、周りから声小さいと言われてました。

 

やはり私みたいにしゃべらなかった期間が長い人は、声の出し方を体がわかってなかったり、声を出す筋肉が発達してなかったりするのでボイトレで声の出し方を覚える効果が大きいと思います。

 

 

また元場面緘黙症だとどうしてもしゃべることに自信が持ちにくいです。

 

その上声まで自信がなかったらダブルで自信を持てません。

 

そして自信がなければないほど声は小さくなるし、緊張してうまくしゃべりにくくなります。

 

 

だからせめて声だけでも自信が持てるよう、ボイトレを受けておくことを強くおすすめします。

 

 

 

ちなみにボイトレを受けることを親に言うのが恥ずかしければ英会話教室に行くなどと嘘をつくといいです。(私はそう言ってました笑)


 

 

4. 個別指導塾に行く or 家庭教師を雇う

次に場面緘黙症の人は1:1で、なおかつ何度も会う相手ならしゃべりやすいと思います。

 

そういう相手を見つける手っ取り早い方法が個別指導塾か家庭教師です。

 

 

個別指導塾も家庭教師も先生は大学生〜20代のフリーターのバイト講師が多く、若い人が多いので話しやすいと思います。

 

 

初めはあまりしゃべれないかもしれませんが、勉強を教わりながら接して慣れていくうちにだんだんしゃべれるようになっていくと思います。

 

 

先生との相性問題はあると思いますが、合わなければ先生を変えてもらうことが可能なところが多いので合わない先生に当たったらガンガン変えちゃいましょう。

 

相性がいい先生に当たればめっちゃ話す練習になりますし、相性が悪い先生だと全然練習にならないですからね。

 

 

5. 自分から人に話しかける練習をする

次に少しハードルが上がりますが、自分から人に話しかける練習をします。

 

これができなければ知り合いのいない学校で友達を作るのは難しいです。

 

(私はこれができないせいで高校でしゃべり始めることができなかったし、大学で友達出来なかった)

 

 

で、これって慣れるとそんなに問題なくできたりするんですが、今まであまりやったことがない人、特に元場面緘黙の人にとってはめちゃめちゃ難しかったりします。

 

だから事前に慣れておくべきです。

 

 

まずはお店で店員に「すみませーん」と声をかけて注文したり、何か聞いたりする練習から始めるといいです。

 

 

  • ボタンの無い飲食店で店員を「すいませーん」と呼ぶ
  • スーパーや100円ショップ、ドンキなどで店員に「○○ってどこにありますか?」と何かの場所を聞く
  • 道に迷ったふりをして道を聞く(最初は交番の警察官や警備員、コンビニの店員などに聞くとハードル低い)
  • 駅でわからないフリをして○○行きの電車があるか聞く
  • 図書館・本屋で店員に本の場所を聞く
  • DVD屋で店員に見たいドラマ・映画の場所を聞く
  • デパートで店員にトイレ・エレベーターがどっちにあるか聞く

 

 

6. 習い事・バイトをする

次に習い事やバイトをすること。

 

習い事やバイトのいいところは学校の外に仲間ができることです。

 

知らない人とはしゃべれる状態であればここで友達を作れるかもしれません。

 

友達ができれば一緒に遊んだり、ご飯に行ってたくさんしゃべったりできて、とてもいい会話の練習になります。

 

 

友達はできなくても何らかのコミュニティの中でしゃべる、という学校に近い状況を味わえます。

 

これは進学して場面緘黙症を克服してしゃべり始めたときの状況に近いので、その予習にちょうどいいです。

 

 

またもし上手くいかなかったときはその習い事・バイトはやめて別の習い事・バイトをするといいです。

 

 

7. しゃべることがメインじゃないけど人と交流する遊びをする

次に人と交流する遊び。

 

知らない人同士で遊べる場所があります。

 

 

大体どこにでもあるのが将棋・囲碁教室、雀荘ですね。

 

将棋・囲碁は場が静かだし、やる人も大人しい人が多いので元場面緘黙の人にとっても居心地がいいと思います。

 

雀荘は怖いイメージがあるかもしれませんが、慣れの問題ですし、怖いなら賭けなしの初心者向けフリー雀荘がおすすめです。(東京には結構あります)

 

 

あとは都会ならアミューズメントカジノで賭けなしのポーカーができるんですがこれも結構いいです。

 

学生向けの大会とかもありますし。

 

また都会にはボードゲームカフェとかもあります。

 

 

しゃべるのがメインじゃない遊びのいいところはしゃべらなきゃいけないというプレッシャーがないこと。

 

元場面緘黙の人はしゃべらなきゃと思うと緊張してしゃべれなくなるので、しゃべってもしゃべらなくてもいい環境の方がリラックスできてしゃべりやすいと思います。

 

 

  • 将棋
  • 囲碁
  • フリー雀荘で麻雀
  • アミューズメントカジノでポーカー
  • 遊戯王などのカードゲーム
  • ボードゲーム

 

 

オンラインゲームのチャットで交流するのもあり

また、少しハードルを下げてオンラインゲームのチャットで交流するのもありです。

 

ゲームによりますが、パーティーを組んで一緒に戦ったり、ゲーム内にギルドなどの仲間を作れる機能があったりします。

 

 

 

私が中学時代ハマってた戦争ゲームにはそういう機能があり、チャットしながら一緒に戦うのはとても楽しかったです。

 

ネトゲは中毒性高いのでハマり過ぎ注意ですが…。


 

 

また将棋・囲碁・麻雀・ポーカーなどのゲームはオンラインで対戦できるものもあるので、オンラインで腕を磨いたり、ルールを覚えたりしてから対面で知らない人と対戦できる場に行くのもいいでしょう。

 

 

8. しゃべることがメインじゃないオフ会やイベントに参加する

次に知らない人同士で交流するオフ会やイベント、の中でしゃべることがメインじゃないもの。

 

例としてはビリヤードとか麻雀とかカラオケとかスポーツとかサバゲーとか、いろんな趣味の人同士が集まって一緒に遊ぶもの、に参加します。

 

 

たとえばmixiとかジモティー、meetupなどのサイトにそういうオフ会やイベントの募集があります。

 

 

特に東京に住んでればこういうイベントがたくさんあります。

 

 

ちなみに麻雀なんかは7の普通の雀荘に行くだけでもいいですが、mixiのイベントの方が若い人ばかりが集まる傾向にあるので友達作りにはこっちの方がいいです。

 

またこういうイベントは遊ぶことも目的の一つだけど人と交流して友達を作ろう的なノリもあるので終わった後みんなでご飯に行きましょうみたいな誘いがあったり、最初から2次会の募集があったりします。

 

 

場面緘黙症の人にはこの大勢でのご飯や2次会(=飲み会)は正直結構ハードルが高いです。

 

 

 

私も何度か参加したことはありますが、ほぼしゃべれず聞き役に徹するだけになります。

 

なので本気で友達作りたい人は挑戦してみてもいいですが、2次会は無理して参加しなくてもいいと思います。


まとめ

以上、場面緘黙症の治し方として、周りの協力が得られない人が自力で克服する方法を紹介しました。

 

記事中にも書いた通り、私自身はこれらのことをやらなかったために大学で場面緘黙症自体は克服できたものの、そこから後遺症に苦しむことになりました。

 

そして場面緘黙症自体より後遺症の方が全然きつかった。

 

場面緘黙は治った後の後遺症の方が100倍つらいよって話

 

 

だから本当に思います。

 

ここに書いたようなことを実践しておけばどんなによかったかと。

 

 

特に学校の外に習い事とか趣味系のコミュニティに入るってのは絶対やっておいた方がいいと思います。

 

ここで学校に近い状況でしゃべるという経験をしておけば進学した時めっちゃ自信になりますから。

 

 

 

過去の私にようにならないためにも、新しい学校でしゃべり始める前に、スモールステップを踏んで万全の準備をしておくことを強くお勧めします。


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場面緘黙症は周りの人たちの協力があれば早期に治すことも可能です。 治療に有効な方法はスモールステップでしゃべれる場所&人を少しずつ増やしていくことです。 今回は周りの人たちの協力が得られる場合に、場面緘黙を治す効果的な方法を低学年向けのやり方と高学年向けのやり方に分けて考察したいと思います。